役割・目的
ハンターは、街路樹の役割を以下のように示している。
@街路を美化し、宅地の価値を上げる(経済効果)
A道路から醜いものを隠す(景観形成)
C交通騒音を防止する(交通対策)
D日陰を与え、葉からの水分蒸発により、大気を冷涼する(気象緩和)
E鳥類を誘致し、庭園の害虫を駆除する(生態的維持)
これらの6つに加えて、植物から受ける安らぎ・豊かさ、緑の四季の変化
(形や色や芳香)による心理的効果がある。
都市の建築物や道路は、アスファルトやコンクリートのため、無機的な景
観になってしまう。そこで、緑を植栽することによって、生命感を与え、都市
景観に潤いを与える。列状に植栽された街路樹は、空間に輪郭を与え、連
続感や統一感が高められる。
交通量の多い道路では、自動車からの排気ガスのため大気中の二酸化
炭素や二酸化窒素の濃度が高い。そこで、街路樹は、ガス状汚染物質の吸
収とダスト状汚染物質の吸着によって、大気を浄化し、自動車の排気ガスに
よる大気汚染の影響を緩和する。
街路樹を歩道と車道の間に、植栽することによって、歩道者の安全を図る
ことができる。例えば、自動車運転者にその道路の地形、線形などの状況を
わかりやすく、事故を未然に防ぐ効果があるが、もし事故が起こった場合
には、自動車が歩道に突入することを防ぐ効果もある。
また、街路樹を植栽することは、沿道住民の生活保全のために、道路から
の騒音を吸収したり、遮ったりする効果がある。
街路樹を植栽することで、歩道に日陰を作り出される。また、葉からの水分
蒸発により、気温の上昇を緩和する。気温上昇に伴い、アスファルトの表面
温度は上昇するが、街路樹の作り出す日陰のアスファルトの表面は、温度
上昇が少ない。また、蒸散作用により、湿度を適度に保つ働きを持つ。
街路樹は、生物に活動の場を与える。特に、鳥類と昆虫の活動の場を提
供する。それらの動物の移動の際に、街路樹が、他の緑と緑を結び、エコ
ロジカル・コリドー(生態的回廊)として、機能する。
コンクリートの建物や、アスファルトの道路などの人工物で作られた都市
に、樹木は、その人工的な景観を和らげ、潤いある景観を作り出す。これに
より、人々に安らぎを与える。また、街路樹は、生命の営みや季節の移り変
わりを人々に気づかせてくれる。
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