街路樹の現状
 
               <街路樹調査>
調査対象地
対象樹木
1954年
全国111都市
街路樹
1967年
全国160都市
街路樹
1982年
全国229都市
道路植栽(高木のみ)
1987年
国内全道路
道路植栽(高木・中低木)
1992年
同上
同上
1997年
同上
同上
              研究論文『わが国における街路樹種の近年の動向』より


 1954年に主要都市を対象とした、街路樹に関する、全国規模の調査が、

建設省によって初めて実施された。その後、1967年、1982年と調査が実

施された。表から、調査回数を重ねるごとに、調査対象地は増えていること

がわかる。そして、1967年から1997年まで、5年置きに全国調査が行われる

ようになった。

<地方別高木本数> (1997年度)
地方
高木本数(本)
人口千人当りの本数
(本/千人)
全国
6208191
49
北海道地方
864945
152
東北地方
393173
40
関東地方
1375186
35
近畿地方
1196148
53
九州地方
572771
42
             研究論文『わが国における街路樹種の近年の動向』より


 地方別高木本数を見てみると、5つの地域の中で、人口千人当りの高木の

本数が、最も多い地方は、北海道地方で、152本/千人である。最も少ない

のは、35本/千人の関東地方である。


 次に過去43年間(1954〜1997年)の街路樹の変遷を見てみる。調査ご

とに植栽本数、樹種数、共に増加している。イチョウは常に上位にあるが、

プラタナスは、調査ごとに順位が下がっている。1955年から1997年の43年

間で上位5種占有率は75.6%から32.1%に、上位10種占有率は約90.

3%から47.5%に低下している。
 
 
 <上位10種の変遷>
順位と本数(本)
調査年 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位
1954年 プラタナス イチョウ サクラ エンジュ ニセアカシア ポプラ アオギリ
88930 59854 22989 21915 21354 13947 11440
1967年 プラタナス イチョウ ヤナギ ポプラ ニセアカシア サクラ アオギリ
107839 105937 55137 39585 38321 24300 20346
1982年 イチョウ プラタナス トウカエデ ヤナギ サクラ ケヤキ ニセアカシア
301998 199830 142537 91426 80075 78966 73225
1987年 イチョウ プラタナス サクラ トカエデ ケヤキ クスノキ ナナカマド
485577 257483 255723 232950 189846 125523 107089
1992年 イチョウ サクラ ケヤキ トウカエデ プラタナス クスノキ ナナカマド
552407 345563 299174 281427 251356 193025 161442
1997年 イチョウ サクラ ケヤキ トウカエデ クスノキ プラタナス ハナミズキ
591070 428456 411915 315956 247301 228697 210280
   
  
          
順位と本数(本)
樹種数
上位5種
占有率(%)
上位10
種占有率
(%)
調査年
8位
9位
10位
総本数(本)
1954年
マツ類
シンジュ
ヤナギ
29種類
75.6
90.3
7412
4609
4459
284620
1967年
トウカエデ
ケヤキ
ユリノキ
35種類
71.4
88.7
16904
12370
10266
515287
1982年
クスノキ
イブキ
ポプラ
52種類
45.8
65.0
67001
65400
57055
1779805
1987年
ニセアカシア
ヤナギ
シラカシ
69種類
40.1
55.4
106050
104995
96429
3853272
1992年
日本産カエデ
モミジバフウ
マテバシイ
76種類
36.2
51.5
148860
119852
112360
4784702
1997年
ナナカマド
シラカシ
日本産カエデ
93種類
32.1
47.5
192822
179112
143703
6208191
                         研究論文『わが国における街路樹種の動向』より


 上の表から、街路樹の本数は調査ごとに増加している。また上位占有種の

比率が低下している。このことから、街路樹の多様化が進んでいることが言

える。

1982年と1997年の比較


調査年度
1982年
1997年
1位
中国 (イチョウ)
中国 (イチョウ)
2位
北アメリカ (プラタナス)
日本 (サクラ)
3位
中国 (トウカエデ)
日本 (ケヤキ)
4位
中国 (ヤナギ)
中国 (トウカエデ)
5位
日本 (サクラ)
日本 (クスノキ)

 
 調査対象樹木が、街路樹になった1982年と1997年の調査を比較した。

表<上位10種の変遷>に載っている上位5種の原産国を調べた。

 1982年では、1位から4位まで、中国と北アメリカが原産の外来種が占有

している。1997年では、2、3位に日本原産の種類が入っており、1982年と

比較してみると、中国・北アメリカ原産の外来種が全体的に減少している。

また、上位6位かでも同じような傾向があった。


現状を見て

 当初、日本の街路樹は、限られた樹種しか植栽されておらず、外来種で

占められているのではないかと考えていた。しかし、実際は、調査の度に、

街路樹の植栽本数は増加しており、今まであまり植栽されてなかった樹種の

導入が見られた。樹種が多様化していた。

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