ここまで、現在の電子商取引とはいかなるものか、そしてその中でのセキュリティ技術について話を進めてきた。

 締めくくりとして、電子商取引における今後の展望と課題と題うっていくつか簡単に列挙したいと思う。

 まず、電子商取引において何が一番求められているか。それは更なる信頼性である。現在のシステムでは、不安の中で利用している人数の割合も多い。私の周りの学生仲間に、電子商取引に不安を感じるか、との質問を投げかけたところ、15人中11人が不安を感じるとの回答をくれた。かなり偏った調査であることは承知だが、それでも参考にはなると思う。では、どうすれば安心して電子商取引を利用できるか。それには、法的整備などのいわゆるルール確立である。最近民法改正によって、二重注文に対しては、店舗側が確認画面を用意していない場合、個数などの入力ミスは対処できるようになった。このようにして、安心して取引できる環境をこの先も更に整えていくことが必要である。

 第二には、これは電子商取引に限らずにいえることなのだが、次世代のコンピュータシステムには管理者が不要とされている。その中で更に増大していく利用者を把握することはどんどん難しくなっていく。そうなると、なりすましなどの犯罪が増加する恐れも大きくなり、上記の安心して取引できる環境というものからは遠のいてしまうのではないか、との感じを受けた。このことに関しては、今以上の本人認証などの技術の開発が必要になってくるだろう。もしくは、やはり管理者を置くべきかもしれない。

 第三に、B to B方式の中で、企業間のインターオペラビリティ(相互運用性)の確保は実現すれば企業の発展に大いに役立つであろう。これの特徴は、企業間取引の自動化にある。人間が紙とにらめっこしながら進めていた作業を、機械で自動化するので人件費などのコストダウン、そして在庫管理がスムーズになり、発注の効率化が図れるようになるであろう。

 まだまだ、乗り越えるべき課題は電子商取引、ひいては現在のコンピュータ社会ははらんでいる。しかし、一つずつ課題を確実にクリアしていけば、よりよい環境が整い、更なる利便性を得ることができるであろう。
 

+今後の展望と課題+

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